Fundsとは
概要
2019年1月8日、株式会社クラウドポートが提供する、貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」の口座開設がスタートしました。
クラウドポートはソーシャルレンディングの比較サイトを運営する企業ですが、金融商品の取り扱いに関する登録を行っており、自社で投資サービスをスタートしたという背景です。
インターネットを介しての投資サービスであるため、Fundsは「クラウドファンディング」の一種であると言えます。
具体的に、投資家はFundsのサービスを通して、ファンド組成企業に投資を行うことになります。
ファンド組成企業とは、いわゆるノンバンクなどの金融業への融資(貸付)を行う企業のことです。
Fundsの公式サイトには以下のような図解が掲載されています。
(出展:Funds公式サイト)
お金の流れとしては、投資家がFundsを通して貸し付けた資金はファンド組成企業へと集まり、その後ノンバンクなどの企業に貸付られ、さらに個別の資金需要者に貸し付けられるということです。
融資(貸付)型のクラウドファンディングであるため、Fundsはソーシャルレンディングの1つであるということにもなります。
インカムゲインで安定性がある
投資は大きく分けてキャピタルゲインとインカムゲインの2つに分類されます。
キャピタルゲインとは、株や投信のように保有する資産の値動きによって得られる利益です。
安い時に買って、高い時に売るという方法で利益を出すことになります。
一方、インカムゲインとは、資産を保有していることで定期的に得られる利益を指します。
不動産の家賃収入などがインカムゲインにあたります。
Fundsはソーシャルレンディングと同じくインカムゲインです。
キャピタルゲインは常に値動きがあるため、放置をしておけば利益が出るという投資ではありません。
専業にしている投資家も多く、投資家同士がライバル関係にあるため、参入するハードルが高い投資です。
大きな値動きがあった場合は数分・数時間で大きな利益をあげることもできますが、初心者が利益をあげるのは非常に難しい世界となっています。
インカムゲインであれば、リスクはあるものの、投資をして放っておくだけで定期的に利益が分配されます。
投資家同士がライバルにならないため、投資初心者にもおすすめでき、サラリーマンが資産形成のために副業で投資をする場合などにはインカムゲイン型が向いています。
貸付先はファンド組成企業
Fundsはソーシャルレンディングの1つと言えると述べましたが、従来のソーシャルレンディングとFundsでは決定的な違いがあります。
ソーシャルレンディングでは一度サービス会社を通すものの、資金需要者(事業者・個人)に直接貸付を行うことになります。
一方、Fundsの場合は投資家が貸付をするのはあくまでファンド組成企業です。
資金需要者に直接貸付を行わないため、貸付先の倒産や返済不能といったリスクを軽減することができます。
資金需要者が返済不能になった場合でも、直接貸付を行っているファンド組成企業が返済可能な状況であれば、元本が確保されるからです。
また、ソーシャルレンディングの場合は貸付先の資金需要者は匿名となっていますが、Fundsでは貸付先のファンド組成企業が明確になっています。
(出展:Funds公式サイト)
具体的には、アイフル(東証一部上場)、デュアルタップ(東証二部上場)、LENDY(オンライン融資サービスのベンチャー企業)となっています。
貸付先が明確であることは投資家として安心材料になります。
実際に、ソーシャルレンディングでは貸付先が自社のグループ会社で、不適切な資金運用があったという事例もあります。
クラウドポート社もFundsの公式サイトにおいて、Funds=ソーシャルレンディングであるという紹介はしていないため、仕組みは似ているが厳密には別物だと捉えているのだと思います。
案件の概要
利回り、運用期間、最低投資金額など
Fundsの案件概要についてはまだ情報が少なく、案件数自体も少ない状況です。
公式サイトでは予定利回りが1.5〜6%(年率)、運用期間は4ヶ月〜、最低投資金額1円〜と公表されています。
予定利回りはまさにソーシャルレンディングと同程度の利回りとなっているのがわかります。
ただし、ソーシャルレンディングの場合は10%を超える利回りの案件も存在するため、単純な利回りだけを見ると若干物足りないと感じる方もいるかもしれません。
運用期間は短期・長期どちらの案件も存在すると予想できますが、最短が4ヶ月〜というのは投資初心者には嬉しいところです。
そして、最も特筆すべきは最低投資金額が1円〜となっていることでしょう。
ソーシャルレンディングの場合はどんなに少なくとも最低投資金額は1万円〜、サービスによっては2万円〜となっているため、非常に大きな差があることになります。
端数は投資に回すことができずに余剰資金となってしまうソーシャルレンディングに比べると、投資金額を1円単位までフル活用できるのは投資家からすると有難いことです。
ただし、公式サイトにも注意書きがありますが、10円などの少額で投資を行ったとしても、最終的に利益が発生しない場合があることには注意が必要です。
分配金配当のタイミング
ソーシャルレンディングにおいては、分配金は毎月分配されるのが基本的なシステムとなっています。
Fundsの場合は元本と利益の分配のタイミングが以下のようになっています。
【元本の償還】
- 半期ごと分割
- 満期後一括
【利益配当】
- 毎月
- 毎四半期
- 満期後一括
注目すべきは利益の配当方法が3種類あることでしょう。
毎月配当はソーシャルレンディングで基本となっているので馴染みがあるかもしれませんが、毎四半期(3ヶ月)ごとや満期後一括という案件も存在することを覚えておかなくてはなりません。
どのように受け取っても最終的には同じ利回りにはなりますが、早く分配金が配当されれば、それの分早く次の案件の投資に回すことができます。
万が一デフォルト(貸し倒れ)が起こった際も、すでに受け取っている配当があれば、その分は確保できるということも言えます。
分配金は「デポジット口座」に入金されることなります。
デポジット口座とはFundsのサービスに開設する講座で、投資用資金もデポジット口座に入金することになります。
一部のソーシャルレンディングサービスではデポジット口座のシステムがなく、配当金は登録した自身の銀行口座に直接振り込まれる場合もありますが、Fundsの場合はそうではないので、いちいち再入金する手間はかかりません。
最低成立金額を下回った場合
案件には最低成立金額という下限金額が設定されており、最低成立金額を下回った案件は不成立となり、投資申し込みを行った金額は返金されます。
自動的に他の案件に投資が行われたり、繰越されて資金が凍結される心配もありません。
ただし、案件不成立の場合はそもそも投資が完了しないため、利回りが発生しません。
資金を遊ばせておくことになってしまうため、案件が成立するかどうかの見極めは重要になるでしょう。
担保と保証
案件にはそれぞれ個別に担保・保証が設定されています。
担保とは融資先からの返済が滞ったときに、差し押さえや競売などを通じて、債権の弁済にあてることができる資産のことです。
担保が設定されていても、資産の売却金額が債券額を下回る場合は元本割れする可能性があることは覚えておかなくてなりません。
保証とは融資先からの返済が滞ったとき、融資先に代わって保証人が返済する責任を負う内容の契約を結んでいることです。
担保と同様に、保証人に債券額を支払う能力がなければ、元本割れする可能性はあります。
担保・保証に関してはソーシャルレンディングよ同じ要領だと考えて差し支えないでしょう。
元本が確実に守られるというものではありませんが、担保・保証がある案件とそうでない案件ではリスクが雲泥の差となります。
案件を選ぶ際は担保・保証には要注意です。
手数料は0円
Fundsは非常に良心的で、各種手数料を0円としています。
(出展:Funds公式サイト)
会員登録や口座開設には一切費用はかかりませんので、気になる方はまず登録&口座開設をしてみることをおすすめします。
また、口座管理費用も発生しないため、口座開設をして放置してしまう期間があっても安心です。
指定口座への出金手数料も無料のため、デポジット口座から自身の口座には無料で出金できます。
ソーシャルレンディングサービスには出金手数料が有料な場合もあるため、これは嬉しいですね。
ただし、注意が必要なのは、自身の銀行口座からFundsのデポジット口座に投資資金を入金する際です。
入金時に発生する振込手数料は銀行に支払うため、無料にはなりません。
何度も入金を繰り返すとそれだけで手数料が発生しますので、一度まとまった金額を入れておくと良いでしょう。
収益源は業務委託料
上述したように、Fundsは案件についての手数料をとっていません。
ソーシャルレンディングサービスには営業手数料などを投資家から徴収して収益としている場合もありますが、Fundsはファンド組成企業からの業務委託料が収益源となっています。
投資家からは一切料金を取っていないということになりますので、利回りが削られることもないということです。
投資の流れ
Fundsでの投資までの流れは以下のようになっています。
【先に入金する場合】
- デッポジット口座へ入金
- 案件選択
- 投資申し込み完了
- ファンド成立
- 投資実行
- 分配
【後から入金する場合】
- 案件選択
- デポジット口座へ入金
- 投資申し込み完了
- ファンド成立
- 投資実行
- 分配
(出展:Funds公式サイト)
特筆すべきは、投資資金を先に入金する方法と後から入金する方法を選択できることでしょう。
案件の選択を先にするか、入金を先にするかを選ぶことができます。
後から入金をする場合は、投資に必要な金額だけを振り込めば良いので、余剰資金が出にくいのがポイントです。
ただし、案件ごとに入金をしていると、振込手数料が複数回発生してしまうことは覚えておいたほうが良いでしょう。
どちらにも共通して言えることは、上述した最低成立金額に満たない場合は投資が実行されず、返金されることです。
分配のタイミングもファンドごとで取り決めがあるため、一律で毎月分配ではないことに注意してください。
リスクを知る
Fundsはソーシャルレンディングと非常に近いサービスで、ありそうでなかった次世代型の貸付ファンドに投資できるオンラインマーケットです。
冒頭で述べたように、インカムゲイン型のため値動きがなく、安定した収益を得ることが可能で、初心者にもおすすめできます。
しかし、投資である以上は少なからずリスクがあることを覚えておく必要があります。
貸付先がファンド組成企業のため、資金需要者に直接貸付を行うソーシャルレンディングよりも元本割れは起こりにくいと考えることができます。
しかし、ファンド組成企業自体がデフォルト(貸し倒れ)してしまった場合や、借り手のノンバンクなどの企業がデフォルトしてしまった場合は、元本の回収は難しくなります。
公式サイトにも記載されていますが、Funds(貸付ファンドへの投資)はミドルリスク・ミドルリターンの投資です。
ソーシャルレンディングも同じくミドルリスク・ミドルリターンと言われています。
ちなみに、ハイリスク・ハイリターンな投資は冒頭で述べたようなキャピタルゲイン型の投資で、株式投資や投信などになります。
現在は案件数が少ないので難しいかもしれませんが、投資におけるリスクヘッジで最も効果的なのは「分散投資」です。
1案件に100万円を投資するのではなく、10案件に10万円ずつ、20案件に5万円ずつ、100案件に1万円ずつ投資した方が、一つ一つのリスクが小さくなるということです。
運営会社情報
Fundsの運営会社はソーシャルレンディングの比較サイトを運営する株式会社クラウドポートです。
ソーシャルレンディングの情報発信をしている企業としてはNo,1の知名度ではないでしょうか。
実際にクラウドポート自身も「ソーシャルレンディング業界ナンバーワンメディア*」としています。
*アスマーク社のインターネット認知度調査による(対象:20歳~65歳の個人投資家)
注目すべきは、クラウドポートには金融の専門家や弁護士、公認会計士などが在籍している点です。
さらに、顧問とアドバイザーには元税制調査会委員、元財務事務次官、元みずほ銀行役員、元日本興業銀行員など、まさに金融のスペシャリストという顔ぶれがずらりと並んでいます。
コプライアンスやガバナンスを非常に強化していることがよくわかります。
一方、財務状況は以下のようになっています。
平成30年3月31日現在
資本金 | 当期純利益 | 利益剰余金 | |
---|---|---|---|
第2期決算公告 | 188,005 | -77,035 | -88,603 |
表からわかるように、平成30年3月の決算時点では当期も通気も赤字決算となっています。
運営企業の財務状況は案件に直接関係ないものの、赤字決算であることは覚えておいた方がいいでしょう。
ただし、Fundsのようなサービスを開発するには莫大な資金が必要となるため、順当であるとも言えます。
今後Fundsの収益によって通期の赤字額がどのように増減するかが重要な要素です。