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maneoの遅延、延滞、業務改善命令情報まとめ!

2018年は、業界最大手であるmaneoにとっては波乱の年となりました。

多くの案件での延滞発生、maneoプラットフォームを利用していた企業が資金不正運用、管理の不手際を問われ金融庁から行政処分を受けるなど、非常に高い頻度で多くの事故が発生したためです。

本記事では、混迷をきわめるmaneoの状況をまとめるべく、以下の項目を解説します。

  • 現在の事故情報
  • これまでの事故情報の概要・発生経緯・収束状況
  • maneoの特徴
  • 今後のmaneo利用で気をつけたいこと

情報は、時系列順にまとめています。

maneoでの事故情報一覧

これまでmaneoで発生した延滞案件を、一覧表にまとめました。

ファンド名 発生日時 融資総額 延滞総額 状況
事業性資金支援ローンファンド
51,44,43号
2017年3月28日 約4,500万円 0円 償還済
2017年11月
maneoの虎ローンファンド
5,8,9,10号
2018年3月2日 約2,400万円 200万円 延滞中
2019年1月に支払い有
ガイアファンディングセレクトファンド
全案件
2018年10月1日 約42億円 約42億円 延滞中
2019年1月現在進展無し
事業者EO社向け案件 2018年11月1日 約5,500万円 約5,500万円 延滞中
担保の売却による回収中
不動産事業者CU社向け案件 2018年11月1日 約20億円 約20億円 延滞中
担保不動産の競売・任意売却による回収中
事業者U社向け不動産担保付きローン
628,631,632,633,634号
2018年1月8日 2億,3000万円 2億,3000万円 延滞中
担保不動産の処分で元本割れの可能性低

以下で、表に記載していない行政処分に関する情報も含めた、それぞれの案件の具体的な内容や経緯を解説していきます。

【延滞:事業性資金支援ローンファンド】2017年3月28日

2017年、「事業性資金支援ローンファンド」51,44,43号の3件で延滞が発生しました。
maneo社が発表した情報を調べた限り、初の延滞案件になります。

延滞発生の経緯

融資総額は45,346,694円(約4,500万円)で、資金を募集していたのは、教育関連サービス店舗(おそらく学習塾だと思われます)を経営する「AV社」です。

大手FC本部に加盟しており、実績・与信は充分でした。

もともとは36回の分割返済方式で、これまで15回の返済を受けていましたが、3月28日に利息の返済遅延が発生。

なお、担保・保証人は設定されていないと告知されていましたが、実は第二順位の連帯保証契約・不動産に対する抵当権の2つが設定されていたとのこと。

なんとも言えない話ですが、これには理由があります。

これらの担保は、価値としては融資額全額を負担できるわけではない(貸し倒れを回避できない)、つまり担保としては不十分でした。

ですので、仮にこれで「担保がある」と記載してしまうと、投資家に誤解を招きかねないためこのような措置を取ったということです。

通常、担保があるならば「担保あり」と記載した方が出資は集まりますが、あえて担保なしと記載したのは、投資家を守るための判断だったとされています。

元本割れ貸し倒れの可能性は?

この案件は2017年11月に全額償還し、問題なく収束しています。

【延滞:maneoの虎ローンファンド】2018年3月2日

maneoで1年ぶり2度目の延滞。2月28日分の元利金の未回収が発生しました。

延滞の発生元は、maneo本体の企画のひとつ「maneoの虎ローンファンド」5,8,9,10号の計4つです。

5件の残高総額は約2,400万円で、2019年1月現在も200万円ほどが延滞中です。

延滞発生の経緯

詳しい延滞の経緯は以下の通りとなります。

対象ファンドの債務者であるBM社とBY社は、ラーメン店運営会社で、経営者が同一のグループ会社であります。
グループは3法人にて、ラーメン店を8店舗経営しております。経営者はこの道約25年の業界精通者で、
詳細は確認中ですが、2月末の返済は不可能であるとの連絡を受けました。
2月末に閉店することになりました。
グループにはmaneo社以外の債務もあり、一旦資金繰りを整理したいと申し出がありました。
事業を徐々に拡大させてきましたが、うち3店舗については、昨年12月頃より急激に売上が減少しており・・・以下略

元本割れ貸し倒れの可能性は?

前述したとおり、2019年1月現在も約200万円が延滞中です。

投資家向けに5月30日付で送信されたメールによると、maneo側でBM社、Y社から延滞発生時~5月末までに同社から150万円を回収し、6月6日に分配されています。

ひとまず貸し倒れは免れましたが、依然として未回収金は残っており、長い時間をかけて回収していく形を取らざるを得ないでしょう。

なお、閉店した1店舗を除いた残り4店舗については、売り上げが平年と変わらず推移しています。

ただし、これ以降延滞の報告がないことから、現在まで滞りなく返済・分配金の配当は続けられている模様です。

ただし、不動産担保などの保全措置がないことから、返済原資は店舗からの収益のみ

原本割れの可能性がないとはいえませんので、早急な回収が求められる案件です。

【グリーンインフラレンディング不正運用】2018年6月29日

6月29日、maneoマーケット社は、maneoファミリー(maneoプラットフォームを利用している会社)であるグリーンインフラレンディングのファンド募集・新規投資家の口座開設を停止すると発表しました。

これは、グリーンインフラレンディングにて「当初、投資家に提示した用途以外で調達した資金を利用した」疑いがきわめて強いためです。

この対応を受けて、グリーンインフラレンディングの親会社であるJCサービスは「事前の説明がなく、一方的にWebサイトにお知らせが掲載された」と反論しました。

また、資金使途について、融資先企業からJCサービスに送金された事実はないとも述べています。

元本割れ貸し倒れの可能性は?

両者の意見が食い違っていた今回の案件ですが、11月30日にJCサービスはファンド資金の返済についての進捗を公開しています。

内容は、太陽光発電所2件、バイオマス発電所1件が30日時点で売却を完了しており、残りの案件も順次売却し、投資家に分配していくとのことです。

最終的には、元本割れのリスクは低いといえるでしょう。

【maneoに対し行政処分勧告】2018年7月6日

7月6日、グリーンインフラレンディングの不正運用問題を受けて、プラットフォームの提供元であるmaneoマーケット社が証券取引等監視委員会より行政処分勧告を受けました。

  • 最終貸付先企業が、利用用途以外の事業に資金を利用していたこと
  • 結果的に、ファンド勧誘画面が事実と異なる内容になってしまっていたこと

勧告の理由は、上記の件への審査・検証体制の構築が充分にできていなかったためです。

これを受けて、maneoマーケット社は、グリーンインフラレンディング社に対しプラットフォームを提供するだけでなく、提供元として投資家を保護するために要請や指導を行っていくとしています。

行政処分内容は「業務改善命令」

なお、上記の最終的な処分内容は「業務改善命令」で、いわゆる厳重注意にあたります。

業務改善命令の内容をかいつまんで説明すると、以下の通りです。

  • 今回の件に対し、責任の所在を明らかにするとともに発生原因を突き止めて改善する
  • 再発防止のため、金融商品取引業者として営業者の選定・管理体制を改善する
  • すべての顧客に向け、今回の事件の概要及び改善策を説明する
  • 顧客からの問い合わせは丁寧に対応し、投資家保護・公平性維持に努める
  • 8月13日までに、上記4つの進捗と対応結果を報告する

今回の件で、maneoマーケット社は「第二種金融商品取扱業者」としてグリーンインフラレンディング社のファンド勧誘を担当し、投資家に直接情報の説明・共有を行った立場です。

そのため、原因および責任の半分はmaneoの管理・営業者選定の体制に問題があったと判断されています。

【改善対応】2018年8月14日

その後、8月13日に公式サイト上で業務改善対応策を関東財務局に提出したと発表されました。

続報はでていないことから、対応策は滞りなく受理され、実施されたものと見て良いでしょう。

【延滞:ガイアファンディングセレクトファンド】2018年10月1日~

ガイアファンディング案件は現在、maneoの延滞情報の中でもっとも大規模なものとなっています。

2018年10月1日、「ガイアファンディングセレクトファンド79,80,81号」で総額1.1億円の延滞が発生したと報告されました。

最終貸付先は「土地を購入して開発許可を取得した後、不動産の開発事業者などに売却する」事業計画を進める企業で、8月28日までは滞りなく返済が続けられていた案件でした。

理由としては、昨年8月に発生し、テキサス州に甚大な被害をもたらしたハリケーンハービーの影響で許可申請手続きに遅れが発生したためと説明されています。

なお、この時点では「現在もプロジェクトは進行中。開発許可がおり次第水道などのインフラ工事を実施したのち建設業者への売却によるイグジットを予定」という回答でした。

自然災害が主な原因ということもあり、回収の見込みは充分にある状況でした。

【延滞:ガイアファンディングセレクトファンド】2018年11月1日

この後、同じくガイアファンディングにて、今度はカリフォルニア州の米国不動産事業資金ローンにて延滞が発生しました。

開発許可の取得申請中で、許可がおり次第マーケットにて売却の予定でしたが、期日までの売却・返済に至らず、延滞となったと説明されています。

ガイアファンディング社の全ファンドにおいて利息の支払いが延滞

サイト上で2回ほど、延滞が発生していたガイアファンディングですが、11月22日に全ファンドで延滞(利息の未回収)が発生したと発表されました。

全138本のファンド、総額42億円ほどが回収できていないという状況です。

延滞発生の経緯

公式が発表した経過及び回収状況について簡単にまとめると、以下のとおりです。

  • 遅延の原因、資金の到達状況、延滞回収の見込みに関して回答を要請
  • 現地プロジェクトはストップしておらず、現在も継続中
  • 12月3日(延滞から2週間経過)時点で有効な回答は得られていない
  • 債権者として一刻も早い早期回収に努める

元本割れや貸し倒れの可能性は?

現在は、ガイアファンディング案件を新規・再募集共にすべてストップしています。

maneoからの要請を受けたガイアファンディング社の代理人弁護士が、貸付先企業と応対しています。

なお、2018年12月27日・2019年1月に投資家向けにメールで進捗報告がされましたが、特に目立った進展はありません。

【延滞:事業者EO社向け案件】2018年11月1日

前述のガイアファンディングでの延滞発生のほか、10月28日には2件の延滞が発生しています。

1つ目は、2018年3月より融資が行われていた太陽光発電所開発プロジェクトへの融資案件(事業者EO社向け案件)2件。

残高総額は5,500万円です。

なお、案件ページでは担保なしと設定されていましたが、実際には4つほど担保が設定されていました。

延滞の発生経緯

  • 事業者EO社及び事業者EO社の関係者が所有する太陽光発電所の開発プロジェクトに係る不動産への第1順位での根抵当権設定登記
  • 売電権利に対する譲渡担保契約
  • 太陽光発電設備の売買代金債権を対象とした集合債権譲渡担保契約
  • 事業者EO社代表者との連帯保証契約の締結

これらは、融資金の全額を賄える担保であるとはいえなかったため、担保及び保証は「なし」と表記していました。

「事業性資金支援ローンファンド」と同じです。

元本割れや貸し倒れの可能性は?

現在、具体的な返済時期は未定です。

【延滞:不動産事業者CU社向け案件】2018年11月1日

2件目は、不動産融資を行う「C社」が「maneo社」より調達した約20億円を、不動産担保融資で「CU社」に融資していた案件で起こった支払い遅延です。

延滞発生の経緯

今回の案件には、CU社の担保不動産が設定されており、当初の見積もりではその担保で約20億円の返済は可能であるとされていました。

最悪、担保を売却すれば問題はないので、C社は担保不動産の売却と並行しつつ、5月28日~9月28日にかけて5回、maneoへの利息の支払いを立て替えます。

しかしながら10月、売却を進める過程でC社が「CU社のすべての担保不動産を売却しても、元利金全額の返済は困難」という事実に気付きました。

maneo社からC社への融資はノンリコースローンであったため、やむを得ずではありますが、10月28日の利息を支払わない意向を示し、今回の延滞に至ったということです。

今後は、C社、maneo社が合同で担保不動産の売却による回収を進めていくとのこと。

と、ここまでが発覚の経緯となりますが、実はこの案件にはいくつかの問題点があります。

  • 本ファンドの募集終了日が、すでに延滞が発生していた5月29日であり、かつ案件稼働を中止しなかったこと
  • 延滞発生が早すぎるため、CU社が問題を抱える企業である可能性がきわめて高いこと
  • 5ヶ月も延滞していたにもかかわらず、投資家への報告が遅れたこと

情報を整理すると、「C社」がmaneo社に延滞発生の事実を10月まで伝えずに立て替えていたとみるのが自然です。

元本割れや貸し倒れの可能性は?

現在の売却の進捗状況について、1月9日に投資家向けに発表された情報によると、神奈川県内、埼玉県内の一部物件は昨年12月に契約を締結しています。

なお、担保不動産の内訳は、埼玉県内8か所、千葉県内2か所、神奈川県内3か所及び東京都内2か所所在の収益アパートです。

売却は進みつつありますし、担保不動産自体も売却が困難な物件というわけではありません

大きく悲観する状況ではないと考えられます。

【延滞:事業者U社向け不動産担保付きローン】2019年1月8日

2019年1月8日、「不動産担保付きローンファンド628,631,632,633,634」6件で延滞が発生しました。

いずれも、事業者U社向けの投資案件で、総額は2億3,000万円です。

延滞発生の経緯

保全策として、担保不動産の売却または金融機関からの借り換えによる返済が予定されています。

元本割れや貸し倒れの可能性は?

担保不動産は中央区にあり、maneo社の発表によれば競売募集時の先順位は約17億円です。

現状のmaneo社の先順位の債権額(元金のみ)は約12億1,800万円で、不動産価値もファンド募集時より上がっています。

ですので、このまますんなり担保処分が進めば元本割れ・貸し倒れが起きる可能性はきわめて低いでしょう。

maneoとmaneoプラットフォームの特徴

残念ながら多くの事故が起こってしまっているmaneoですが、ここでmaneoがどういったプラットフォームなのか、改めて整理しておきましょう。

結論から言うと、信頼性の低下を踏まえてもまだまだ使いやすい事業者であるといえます。

以下の3点を中心に、maneoの特徴を解説していきましょう。

  • 初心者向き
  • 平均利回りは5%~9%と高め

初心者向き

前述したように、現状の信頼度は少々下降気味ですが、初心者が最初に低リスクで投資を始めるプラットフォームとしてはまだまだ安定しています。

ソーシャルレンディング業界の中でも老舗・最大手というだけあり、単純に取引額だけで判断するなら他社とは比べものにならない実績が豊富であるためです。

また、未だに貸し倒れにまで至った案件はゼロで、さらにGMOグループと資本提携しているという点を鑑みれば、信頼性はまだまだ中小の事業者に勝ります。

したがって、初心者でもリスクの低い投資が可能です。

平均利回りは5%~9%と高め

maneo社の平均利回りは5%~9%です。

案件によって利回りはピンキリなので、振れ幅もそれなりにありますが、業界平均は5%~6%ですので、相場から見れば平均よりも少し高めです。

何より、案件数が相当に多いので、ローリスクローリターンな案件もあればハイリスクハイリターンな案件もカバーしているのが魅力的です。

始めて投資をするのにもおすすめのプラットフォームです。

ただし、前述の信頼性低下の観点から、現状ではハイリスクな案件に投資するのは控えたほうが良いでしょう。

今後のmaneo利用で気をつけたいこと

maneoでの延滞事案は、2017年では1回だったのに対し、2018年では5回です。

加えて、グリーンインフラレンディングの資金不正利用問題と、それに付随して行政処分(業務改善命令)も受けています。

国内最大手で信頼性も高かったmaneoですが、こうした度重なる延滞事案により、現在は非常に不安定な状況にあると言わざるを得ません。

とはいえ、不正利用を起こしたグリーンインフラレンディング、40億円超のガイアファンディングの2社は、プラットフォームを利用してはいるもののmaneo社が直接募集した案件ではありません

maneo本体で発生した延滞案件は、いずれも回収が見込めるものですので、いずれにせよmaneo本体の募集案件はこれからも引き続きチェックしていく方が良いでしょう。

ただし、年をまたいでもまた新たな延滞案件が発生していることには注意が必要です。

万全を期すなら、しばらくはmaneoの利用は様子見するのが賢明といえます。

貸し倒れは発生するものと考える

ただ、これからソーシャルレンディングを利用するうえでは「融資ではなく投資である」こと、「貸し倒れは常に発生しうる」ことを常に念頭に置かなくてはなりません。

現状、ソーシャルレンディング向けの保険はありませんから、仮に元本割れとなって投資したお金が返ってこなくても、最終的には投資家自身の自己責任となってしまいます。

ですから、元本割れのリスクが低いローリスクな案件に投資するか、元本割れも厭わない精神でハイリスクな案件に投資するか、これからはこれまで以上に慎重に決断しなくてはなりません。

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