業界最大手maneoグループの「グリーンインフラレンディング」で資金を不適切に使用した疑い!

インターネットを通じて個人投資家から資金を集めて融資する「ソーシャルレンディング」事業を営むmaneoは21日、融資先のmaneoグループ企業のひとつ「グリーンインフラレンディング」への投資募集を相次いで停止していたことが発覚しました。

NHKの報道によれば、maneoは本募集で200億円あまりを投資家から集めていて、この投資資金が不適切な形で運用された疑いがああります。

加えて、募集の際にmaneoが事実と異なる説明をした可能性も浮上していて、証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反の疑いで調査を進めています。

 

問題の概要

ソーシャルレンディングはインターネット上で投資家から小口で資金を集め企業に融資するサービスです。

高い利回りと手軽に始められるハードルの低さが個人投資家に受け、市場規模は4年で10倍(1300億円)にまで膨らんでいます。

今回投資募集を行っていた「グリーンインフラレンディング」は、業界最大手のソーシャルレンディングサービス「maneo」が運営するプラットフォーム「maneoマーケット」に募集を委託する企業です。

「maneoマーケット」に募集取り扱いを委託する企業は投資家の間で「maneoファミリー」と呼ばれていて、グリーンインフラレンディングもmaneoファミリーのひとつです。

内容は主にバイオマス発電・太陽光エネルギー発電など再生可能エネルギー事業への融資です。

2016年秋から年利10%を超える配当で6万円から投資が可能と説明したうえで、これまでに200億円以上の資金を集めていました。

しかし、6月11日に「maneoマーケット」上で突如2ファンドの募集が停止しました。

停止理由としては「対象ファンドに関して、資金の使用の一部について確認を実施する」としていて、新規のファンドの募集受付も保留という措置を取りました。

NHKの報道にとると、開発会社が一部の資金を別の目的に使った疑いがあり、maneo社が事実と異なる説明をした可能性があるとのことです。

「maneo」社は07年に設立され、17年3月期の売上高は1億8000万円にのぼります。

業界シェアは50%を超えていて、名実ともに業界最大手といって差し支えない企業です。

ソーシャルレンディングという手法が認知され始めていた段階であったがゆえに、今後の動向次第では業界全体に大きな影響が出かねないのです。

なお、業界全体では過去1年で2社が行政処分の対象となっていて、該当の2社は現在も営業を再開していません。

maneo社では6月26日に続報を発表したが、事実関係の確認中ということで事態は進展していません。

maneoとグリーンイングラレンディングの関係性

「グリーンインフラレンディング」は、プラットフォームであるmaneo上で投資募集を行う企業のひとつです。

先述したようにmaneoで投資募集を行う企業は「maneoファミリー」とも呼ばれています。

誤解のないように補足しておきますが、グリーンインフラレンディングはmaneoのグループ会社ではないため、maneoと直接的な資本関係にはありません

あくまでmaneoを利用している会員のような立ち位置に過ぎないので注意してください。

今回「虚偽の説明」「資金の不適切な使用」という2つの疑惑が浮上しているmaneo社およびグリーンインフラレンディング社ですが、ここで過去の処分事例から今後2社がどうなっていくかを予測してみましょう。

過去の処分事例から「maneo社」の今後の動向を推測

maneo社および「maneoマーケット」上で融資募集を行っている企業では、過去に問題が起こった例はありません。

「グリーンインフラレンディング」は特に運用期間が1年、利回りは13%を超える案件もあり人気の高かった企業です。

ソーシャルレンディング業界全体では、実際に2015年、2017年、2018年に3社が行政処分を受けています。

行政処分を受けたのはクラウドバンク、みんなのクレジット、ラッキーバンクの3社です。

このうち今回のmaneo社にかけられている疑惑について、共通点がないかを見ていきましょう。

クラウドバンクは2015年、2017年に2度の行政処分を以下の理由で受けています。

  • 顧客預かり金の算定・管理システムの整備不良(1回目)
  • 顧客預かり金残高を把握していない(1回目)
  • 不適切な情報を顧客に通知した(1回目)
  • 案件募集に際し、担保説明に誤解を招く表記(2回目)
  • 手数料キャンペーンの表記が誇張して表現されていた(2回目)

1度目は3ヶ月間の業務停止命令、2度目は1ヶ月間の業務停止命令を受けています。。

2度目の処分理由は「maneo社が事実と異なる説明をしていた」疑いと類似していて、もしmaneo社の処分が認められれば1~3ヶ月の行政処分となる可能性が高いと言言えます。

しかし、問題は「グリーンインフラレンディング」が資金の一部を不適切な用途に利用したという点です。

maneoマーケット社ではなく「グリーンインフラレンディング」社の処分となる可能性が高いということになります。

ここで過去の事例を見てみると、「みんなのクレジット」は以下の理由で処分を受けています。

  • 投資資金を別の案件の分配金に充てていた
  • 経営者が個人的に資金流用していた
  • 虚偽の担保表記をしていた
  • 本来であれば審査の通らない会社に融資していた

なお、上記の理由で処分された「みんなのクレジット」は1ヶ月の業務停止命令を受けていて、2018年6月時点では再開の目処は立っていません。

つまり、みんなのクレジットは経営者が資金を個人転用していたことに加え、投資資金をまったく別の案件に分配していたのです。

「グリーンインフラレンディング」でも同様であれば、おそらく業務停止は免れないものと考えられます。

これに加えて、先ほど名前が挙がった「ラッキーバンク」も同様で、募集していた案件が実はことごとくラッキーバンクの経営者の親族が経営する会社で、投資資金を身内で転用していた…ということが明るみに出ています。

書類不正で融資を通りやすくしていたことも発覚し、「みんなのクレジット」とは異なり身内の資金転用とはいえ融資先に虚偽は無かったために、業務改善命令にとどまっています。

こうした過去の事例から、「高利回り」「小口投資」「貸し倒れリスク低」というメリットを謳うソーシャルレンディングには、投資家が予想しなかったリスクが潜んでいることが明らかになってきました。

ソーシャルレンディングのメリットと潜むリスク

メリット

ソーシャルレンディングのメリットは一般的に以下のような点がメリットとされています。

  • 短期・少額投資が可能
  • 利回りが高い
  • 投資元本が安定している
  • 投資の知識・手間がいらない

投資サービス全体で見ても、平均利回りが高いのが最大の特徴です。

ソーシャルレンディングでは運用期間が1年程度のものでも、年10%の利回りを超えることが珍しくありません。

昨今の投資商品が軒並み低利回りであることを考えると、破格といっても差し支えないでしょう。

加えて、業界全体でも貸し倒れが起きた件数というのは少なく、リスクも低いモノが多いことがうかがえます。

一度投資してしまうと途中でキャンセルができないのがネックですが、こちらで何か管理をする必要がないのは大きな魅力です。

株や仮想通貨などのように投資知識がなくても、気軽に小口で投資できるハードルの低さも評価されています。

しかし、メリットが多いソーシャルレンディングではあるものの、リスクやデメリットも同時に認識しておかなくてはなりません。

処分事例から見るソーシャルレンディングのリスク

先ほど事例として上げた行政処分を受けた「みんなのクレジット」「ラッキーバンク」。

2社の共通点は以下の通りです。

  • 融資先が自社の関連会社のみ
  • 案件の利回りがとても高い

それぞれ、具体的に解説していきます。

融資先が自社の関連会社

2社はいずれも「自社関連会社」のみの案件を紹介していました。

当時は融資先企業の情報が不透明(企業名までは明かされなかった)ということもあり、ラッキーバンクが投資資金を身内に転用していたことが明らかになるのが遅かったのです。

このことから「1社~2社にしか融資をしていないソーシャルレンディングサービス」は警戒すべきと言えます。

なお、今後は「融資先の匿名化」を廃止する方針であると一部新聞で報道されています。

融資先の匿名化については元々企業が貸し倒れた際、個人が取り立てを行ってしまうことが懸念されたことが背景にあります。

案件の利回りがとても高い

今回の「グリーンインフラレンディング」も該当していますが、「案件の利回りがとても高い」場合も警戒する必要があります。

担保内容にもよりますが、通常不動産担保がある案件などは利回り6~8%が業界水準となっています。

しかし、グリーンインフラレンディング社の利回りは平均10%を超えており、過去に行政処分を受けた2社も高い利回りで案件を募集していました。

つまり、非常に高い利回りの案件が多い企業はある程度警戒する必要があるということになります。

上記の2点を満たす企業を利用する際は、細心の注意を払うべきでしょう。

ソーシャルレンディングへの投資は余剰資金で行うことを徹底する

今回の事例で明らかになったように、情報開示の程度はソーシャルレンディング業界全体で統一されているわけでありません。

ほとんど開示していなくてもそれはルール違反ではないし、問題になることはないのです。

投資家側の自衛手段としては、そういった不透明な状態で融資を進めてくるサービスを利用しないということに尽きるでしょう。

また、ソーシャルレンディング自体のリスクも考え、投資において「余剰資金」のみで行うことを徹底してほしいと思います。

今回のように募集停止になってしまうと、資金が返済されるかどうかが定かではないからです。

実際に「みんなのクレジット」では未だに投資資金が数%しか返還されておらず、損害を被った投資家達が「みんなのクレジット被害者の会」を設立して返還を求めている最中です。

大きなメリットの裏には必ず相応のリスクが伴います。

新しい投資サービスへの向き合い方を、投資家ひとりひとりが考えなくてはなりません。

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